前回を大きく上回る数の作品が集まった「第2回 新人コミック大賞」。大賞・準大賞の選出こそはありませんでしたが、全体的なクオリティは非常に高いものでした。
そんな激戦をくぐり抜け、見事受賞を勝ち取った作品を大発表!
世界的大企業である財前寺グループの令嬢・財前寺京華は、子煩悩な父親に甘やかされて育てられてきた。大豪邸に住み、ほしいものはなんでも買ってもらえ、すべてメイドや執事任せ。だが、さすがにこのままではいけないと感じた京華は、ひとり暮らしをすることを決意する。そして、とあるボロボロな一軒屋へと引っ越してきたのだが、そこにはなんとメイドがおり……。
キャラクターが可愛く、起承転結もうまくまとっている作品です。ただ、うまくまとまっていると感じる反面、後半からオチまでの展開が駆け足で、物足りなさを感じました。主人公とメイドとのやり取りを少し減らしてでも、後半の霊能者とのからみをもっと描いてほしかったです。主人公のセリフ回しには光るモノを感じるので、今後に期待!
ハナコ、19才。高校を卒業と同時に引きこもりに。おつかいを頼まれて久しぶりに家から出た日の帰り道、ハナコは川辺で、カメの甲羅を背負ったおかしな少女と出会う。それから毎日彼女に会いにいくようになったハナコは、ある日、カメと警官が取っ組み合っているところに出くわし――。
生きることに不器用なふたりの、へんてこな心の交流をユニークに描いた意欲作。
冒頭から突拍子ないカメ少女の登場。変キャラの出オチかと思いきや、ふたりの感情や弱さなど「人間」をしっかり描いている点がとても良かったです。所々、ごちゃついて読みづらいコマ割りもありましたが、白黒のバランスや強弱の付け方、奥行きのある画づくりなど画力は総じて高く安定しています。ただ、まだセンスに頼って描き走っている印象なので、動機づけや構成の組み立てなど、作品の土台をじっくり作り込むことに意識をもって、さらなる向上に期待したいです。
画力が非常に高く、ペン線の美しさやトーン処理の丁寧さなどが、まず目を惹きました。今回の応募作の中でも、特に少女漫画的な絵の良さが目立っていた作品です。一方、ストーリーは散文的で、まとまりや説得力に欠けており、せっかく絵で惹きつけても、ストーリーで読み手を置きざりにしてしまう印象を受けました。丁寧に絵を仕上げる力があるので、ストーリーもプロットから丁寧に組み上げる力をつければ、即戦力を目指せます。
夢中なれるものがない。そんな空虚な自分に対する少女の焦りや苛立ちなど、キャラクターの内面を丁寧に描いた点は好印象。絵柄も荒削りながら非常に魅力的でした。反面、ストーリーはやや平坦で、全体的に説明不足な印象をうけました。主人公と幼なじみの男の子との関係性や、ふたりの抱える問題を掘り下げることで、物語全体に説得力が生まれてきます。次回作に大いに期待!
女の子も可愛く、ネタも面白かったです。キャラクターがしっかりと立っており、最後まで楽しく読むことができました。しかし構図やキャラクターの見せ方があと一歩、あっさりとした印象を受けました。キャラのアップを使うなど見せ方を工夫し、もっと大胆な構図を取り入れれば、さらにレベルアップをはかれます。
絵にクセがあり、好みは分かれるかもしれませんが、女の子はカワイく、ネタも含めパワーもあります。しかし中盤以降、作画が粗くなってしまい非常に残念。全編を通してクオリティを保つことを心がけてください。また主人公や生徒会長が、みづはに食われてしまっているので、各キャラクターを生かした物語作りを意識しましょう。
声だけがもてはやされ、アイドルとしての自分に悩む心情や葛藤がとてもよく描けていた奥深い作品。主人公のことを母と慕う主人公のキャラを登場させ、対話させることにより、作品の奥深さをより引き出せています。読者を楽しませようと演出するや、ストーリー構成も申し分ないのですが、絵の荒さが目立ち、良くできている作品の印象を残念なものにしています。丁寧に絵を描くことを意識してみましょう! 次回に超期待です!!
キャラクターが非常に好みでした。また、ふたりのやり取りや、シーン毎の演出が上手で、まるで30分アニメを見ているかのように、頭の中に映像として思い浮かびました。
ひとつひとつのシーンは完成度が高いと思うので勿体無いのですが、やり取りのシーンを少し切り詰めても、各キャラクターの魅力を伝えることにもう少し力を入れれば、さらに全体のテンポの印象が良くなると思いました。次回作を楽しみにしています。
多数の作品のご応募、ありがとうございます。今回もアニメ化+ゲーム化+連載をお約束する大賞こそ出ませんでしたが、佳作2本、奨励賞5本、期待賞12本、審査員特別賞1本と、多くの才能に触れることのできた結果となりました。 受賞された皆様、おめでとうございます。 受賞者の方には担当が付きますので、編集者と共にデビューを目指し、その才能を開花させていってください。惜しくも受賞を逃された方も、次回のご投稿を心よりお待ちしています。
第2回の新人賞は、作者の『情熱』がビシビシと伝わってくる作品が多く見られ、皆様の才能の片鱗に、編集部一同、胸をときめかせ選考させていただきました。しかし、作品への『情熱』を優先し、やりたいことをツメコミ過ぎて、作品の内容がわかり辛くなっている作品も多く見られました。
自分が作品を通して『伝えたい』ことを、漫画にして読者に伝えるのは、ストーリーや演出、キャラクターなど様々な工夫が必要です。自分に合った伝え方を見つけ、読者の心を動かす作品作りを目指し、原稿に『情熱』をぶつけてください。
次回、「新人コミック大賞」から「メテオ・ポラリス 彗星賞」に名称を変更した漫画新人賞の締め切りは2013年10月末日です。情熱がこもった作品を読めるのを心より楽しみにしております。