「第12回 メテオ・ポラリス彗星賞」には
様々な切り口から描かれた作品が
集結しました!
編集部が注目したのはどんな作品なのか──!?
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「私に感謝しなさいよ?」
学校で孤立気味の女子高生・藻埼公子(通称・モジャ公)。そんな彼女の目下の悩みは、頭脳明晰、スタイル抜群、しかし腹黒でドSな美少女・白瀬京子が妙に自分に近付いてくること。転校してきたばかりの京子が、地味なモジャ公に執着する理由とは――? 好き好き大好き凸凹百合コメディ!
1ページ目のヒロインの可愛さに惹かれページをめくると、扉絵で見た目が正反対のもうひとりのヒロインが描かれており、漫画の冒頭で読者に興味を持たせる仕掛けがしっかりと出来ている作品。キャラクターの表情のバリエーションが多く、公子と京子、ふたりの表情の変化を追いかけるだけでも楽しく読むことができました。次回作で意識していただきたいのは、第三者視点でふたりを眺めるだけでなく、どちらかのキャラクターの視点に読者が入り込めるようなカメラワークを取り入れること。例えば、ハンバーグを差し出すシーンや、公子の手を掴んで「興奮しちゃう」と京子が言うシーンは、読者が京子の迫力をより感じられるように「公子視点」にカメラを置いて描けると、こちらに迫ってくるかのような、よりインパクトのあるシーンを作ることができます。キャラクターの表情に魅力があるため、その強みをさらに発揮できるような画面作りを意識できるとより良いでしょう。次回作も楽しみにしております!
他人の意見に流されがちな主人公・桜美さんと強面だが芯がしっかりした男の子・宗方くん。正反対のキャラクターを組み合わせることでコミカルに仕上げながらも、お互いが少しずつ成長していくというストーリーが分かりやすく、感情移入しながら読める作品です。また、女の子キャラの表情・体型・髪など、細かい部分の描写にこだわりを感じたところも非常に良かったです。次回作で意識してほしいのは「アップとヒキ」のメリハリをもっとつけるという点。大ゴマも活用し、コマの大きさ自体のメリハリはついているのですが、原稿に対してキャラクターの顔の大きさが全体的に同じサイズで描かれているため、可愛い表情のシーンもインパクトが弱くなっています。コマの大きさ以外にも、キャラクターに対するカメラの寄りや引きを意識して、表情で魅せるシーンを増やせると、もっと読者を引き込む演出が出来るようになるでしょう。次回作も楽しみにしております。
メジャーな料理漫画というジャンルでも、栄養学を取り上げることで、著者ならではの個性を出している作品です。また、栄養学の話の入り口がチャレンジしやすい「りんごジャムを作る」というエピソードのため、難しさを感じずにどんどん物語に引き込まれました。次回作で意識していただきたいのは、読者が惹かれるキャラクターデザインを取り入れること。キャラクターのデザインがリアルな人間に近いため、共感は生まれやすくも、物語の登場人物として読者の興味を引くための魅力が足りないように感じました。例えば、女性向けの作品であれば「イケメンを描く」という点も大切ですが「主人公の女の子が女性読者から見て魅力的に見えるか」という点も重要になります。作品のターゲットとなる読者を決めて、その読者がどのようなものを好むかという部分をリサーチできるようになると、より良いでしょう。着眼点が面白く、全体のクオリティが大変高い作品です。次回作に期待しています!
妖怪が跋扈する明治時代を舞台に男女の出会いと別れを描いた、作者の感性が光る作品でした。世界観やキャラクターの作りこみ、密度のある画力など確かな力を感じます。その一方でコマ割りやセリフ配置など、画面構成で読みづらさを覚える部分が多くありました。またキャラクターの掛け合いを丁寧に描きすぎるあまり、物語としては冗長になってしまい間延びしているような印象を受けます。次回作では読みやすい画面作りを心がけ、しっかりと構成を練るとよいでしょう。次の作品も期待しております!
新人賞の審査員を初めて務めさせて頂きましたが、どの作品もパワーに溢れ、それぞれ魅力がありとても面白かったです! ですが今回は、あえて商業的な、商売の観点から評価させて頂きました。 応募者の皆様は、いずれ漫画家となり、自分の作品を世に出すでしょう。 すると、この世に星の数ほどある漫画作品の中で、自分の作品を読んで貰わなければなりません。でないと廃業します。 しかし、全人類が等しくあなたの漫画を読んでくれる訳ではありません。人類の大部分はあなたの漫画を読まないし、存在すらも知りません。 ですので、プロの漫画の世界では、「自分の漫画を知らない人に、いかに読んでもらうか」が重要になります。 「読めば面白い」だけでは不十分なのです。「読む前から面白そう」である事が必要です。 友人に漫画を描いたと言って、「へえ、どんな漫画なの?」と聞かれ、「~って感じの漫画だよ」と簡単に説明した時に、「ほー、面白そうじゃん」と思わせられる何か。 口コミしてくれる人が説明しやすいような、分かりやすい作品のテーマ。 他の作品とは決定的に違う、差別化できる大きな特徴。 そういう明快な強みがあると、編集部としても売りやすいし、書店員の方もポップを書きやすいので、編集部もつい連載させたくなります。
そのような観点で考えると「白々と黒々」は優れていました。 「モジャ髪の低身長女子と完璧お嬢様(隠れドS)の関係性」という形で魅力的なキャラが生き生きと描かれ、扉絵の1枚だけでストーリーが伝わってきます。この1枚のイラストを見ただけで、この手のジャンルを好む人は読んでみたくなるでしょう。
「りづちゃんとおいしい科学」も、「料理関係の大学の研究室で、変わり者達が様々な料理を作る」という明快で独特なテーマがあり、これからどんな料理が出てくるのか期待感があります。
「アジサイ」も、「明治時代を舞台にした妖媒師」というテーマのもと、世界観の作り方がしっかりしていて、キャラクターデザインもとても特徴があり、売りやすそうだと感じました。
この度は「第12回メテオ・ポラリス彗星賞」にご応募いただきありがとうございました。
応募総数過去最多となった今回は多くの作品が特徴的な絵柄で、ジャンルも「ラブコメ」「ファンタジー」「百合」など多岐にわたっており、編集部一同、非常に楽しく読ませていただきました。作者の“好き”が込められた熱量の大きい作品が多く、その中でもひときわ輝いていたのが受賞者の方々です。 特にメテオ賞・審査員特別賞をW受賞した「白々と黒々」は一目見て可愛いと感じさせる絵力や人物たちの豊かな表情、そして何より主人公とヒロインのスタイル、中身、立場の違う関係性の差など、多方面から練られたギャップが魅力的な作品でした。
さて、今回入賞した作品と惜しくも落選した作品の分かれ目となったのは「オリジナリティ」の強さと言えるでしょう。言い換えるなら、その作品“ならでは”の部分です。それがストーリーなのか、世界観なのか、キャラ設定なのか……。何を武器とするかは人それぞれですが、ありふれた作品から抜きん出る独自性を見つけられるよう、まずは自分の好きなもの、得意なことを見つめ直して、今後も作品作りに励んでください。
過去の新人賞結果発表ページでも、受賞ポイントや作品作りについて記載されているので、そちらも要チェックです。
「COMICメテオ」と「COMICポラリス」は第13回新人賞ももちろん計画中です。
詳細が決まり次第、詳細を発表いたしますのでお楽しみに!
プロ漫画家デビューを目指す皆さんの作品を、編集部一同、心よりお待ちしています。